アニメ業界はニコニコ動画を利用してもっと儲けるモデルを模索してほしい

 
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1047553.html
アニメ製作者が、アニメの違法アップロード&ニワンゴに問題提起
 
とうとうというか、そう思うよな、というのはユーザー側の誰もがどこかに思っている事。
 
ニコ動でバンバンと消される作品もあれば、いつまでも残った上に、ニコ市場でじわじわと売り上げが伸びていく作品がある。
著作権者の立場からすればタダでいつでも見られてしまう、厄介な目の上のタンコブみたいなものだろう。
 
これまでのビジネスモデルからすれば。
 
そりゃこれまでの既得権益を守りたい人(製作者とは言わない)は躍起になる訳だ。
規模として数万人レベルでタダで見られてしまうっていうのはかなりキツイのだろう。
ただ、ニコ動でUP→色々な連中が視聴するってのは、誰かがビデオを撮っていてそれを仲間やらと一緒に見ているのと原則的には一緒じゃないか?
 
エヴァの頃、日本国内の在日外国人オタクがビデオを録画し、これをダビングした上で母国に速攻で空輸して友人に送っていたが、その友人の周囲のオタク達がさらにダビングし、それまでマイノリティ中のマイノリティだった海外オタクの間に出回ったという話を聞いたことがある。
 
彼らにとっては、友人間ダビングの規模。ただ、それが爆発的に広まったという事。ニコ動は、それが集約されて一箇所で済むようになったようなものかもしれない。
コメント機能は「擬似ライブ」の感覚と公式ブログで開発経緯が書いてあったが、すぐ隣に実際の人が居ないだけで、視聴しているときの感覚は友人などと一緒にビデオをみているような感じに近い。
 
話をちょっと変える。
今年の始め頃まで自分が所属していたソフトウェアの会社では、他の大手と同じく不正コピーやクラック版が使われてしまっていた。
が、ソフト自体は若干なりマニアックな代物であったにも関わらず(時には不正コピーユーザーが正規品を買って)業界ではそこそこの位置につけた。
 
PCのソフトウェアとDVDによる映像作品と決定的な違いといえば「ユーザーサポート」にかかるコストがあまり無い。
(メディア不良などもあるだろうが、ソフトウェアの使い方やら購入前の相談などは無いだろう)
 
ソフトウェアのサポートは、正規のユーザーに提供されるのが原則だ。トラぶっても責任というか不愉快な思いをするのは、不正品を使ったユーザーである。
後に対策が施されて不正品はかなり駆逐されたが、代わりに「すぐ手に入る」範囲で体験版を用意した。期限付きながら、フル機能に近い中枢機能は全て網羅したものを提供し続けた。
 
やっぱり正規品が欲しくなるような代物だったら、ユーザーは納得して買ってくれる。いくつかバージョンを重ね、他社のソフトウェアに比べて一割程度高い値段設定だったと記憶しているが、それでもこれまでのユーザーは買ってくれたし、これまでのユーザーは周囲に勧めるなどしてユーザーがじわじわ増えた。
 
また、手前味噌で申し訳ないが、ユーザーサポートの外注はせず、問題点の把握、適切な案内、場合によってはユーザーの目的に沿うなら他社製品であろうとも案内した。どんなPC買えばいいか、と聞かれてとあるメーカーの高級機を勧めたらそれを買ったユーザー(「あんたの言った通り、色々できるから楽しい」と言ってくれたのが幸いだが)も居た。
広告なんて、小規模の代理店と若干やりとりしてた程度で、TVCMなんか打った事は無い(数百万という安い値段だったが止めた)し、何より価格規模は同業の半分以下しか広告を打ってなかったと思う。広報もちと噛んでたんだが、いやもうなんつーか、予算が全然なかったw
 
「広告なんかをでかく打つんだったら、作る現場に金をまわせ」
「声のでかいマニアの意見より、大多数のユーザーの意思を汲め」
「(不正ユーザーには)時折釘は刺すが、致命的じゃないならそこに手間はかけない」
「文句ばかりで買わない奴は結局買わない」
 
前社長がいつも言ってた事である。
 
少々ずれたので方向修正。
 
不正品あるいは、体験版がヤシガニった&画質の悪いネット経由映像の代物だとしたら、DVDは製品版だと思う。
今現在、中小のソフトメーカーのソフトウェアは、ネット上で体験版が公開されてる事が多い。
 
少しでもPCで録画、映像編集をした人間にとっては、FLVの映像なんぞ「どこが高画質やねん」と思っているだろう。一度、フル機能を持った製品版に触れた事があれば、OEMの廉価版や体験版を使い続ける気にならないようにすればいい。
 
製品版を(何かの形で)使ってもそこで買おうと思わない奴は結局、何にせよ言い訳をつけて買わないのだ。で、製品版ではないものを使っては彼らなりの評価を垂れ流す。不正規品を使って文句を言う連中はアンチになる事もあるが。
 
ハイビジョン放送をPV3でHuffyuv録画などという廃レベルな知り合いが居ただけに、ストリーミングやyoutube、ニコ動の映像なんざ3倍速録画のビデオテープのようなもんである。
(鴉のPVがニコ動にあったが…いやまあ、仕方ないよな、あの映像密度はDVDで見ないとだめだ。あとハルヒのOPだが、あれはDVDですら物凄くきつい映像密度である。flvじゃまったくビットレート足りない)
そんなもので満足する奴は買わないのだ。真に欲しいと思う層はDVDを買うが…高いよな、流石に。1話3千円とかの計算だし。下にそんなに金が回ってなくてその値段になるってのはどうよと。
(現役で十年近いキャリアのアニメーターの方に話を伺った事があるが、ネットで言われる悲惨な現状は「事実ですが何か」と遠い目で言われてしまいましたよ。あと文化奨励がどうのという政府の援助資金なんざ、米一粒も来なかったのは紛れも無い事実だったそうで)
 
で、話は戻る。
所詮、規模が広がっただけの「ダビングされたビデオの鑑賞会」にダメージを受けて縮小するビジネスモデルは保留して、追加でもっと別の収益モデルを模索して欲しいというのが本音。
 
ニコ動は確かに「タダ乗り」だ。
 
だったら、製作側もタダ乗りしてやれ。そこにはユーザーがいる。潜在的に見るかもしれない予備軍がいる。製作者も使える釣堀なら、貪欲に利用してやればいい。
ゲームのプレイ動画なんてのは、ネタバレと紙一重だけどそのいい例だ。俺の好きなマイナーゲームが、ちょろちょろとニコ市場で売れてたりして喜んでたりする。
 
広告もあまり噛まさずに、ユーザーの口コミでガンガン広まる代物ってのは、物凄く強い。また、売れたからと甘んじずによりよい物をと製作側が妥協しない姿勢があれば大はずれは抑えられる。
先のソフト屋時代、広告の空きがあった際に通常価格の2割以下で同業他社のうちのソフトの広告について「是非に」と話が来た(無論とびついた)事もあったし、特に大きくアピールしてはいなかったが、ソフトウェアの年間におけるユーザー投票などで評価も貰った。
 
削除と憎しみの連鎖でなく、折角そこに作り上げられつつあるインフラとコミュニティがあるのだから、最大限利用して売り上げを伸ばして欲しい所。あとほんの少しだけDVDが買いやすい値段になってもらえればと思うが、今の値段を現状維持で、アニメーター側に金がまわるようになるならそれでいい。
 
縛るだけじゃ、結局はいたちごっこ。その間にどんどん両方が疲弊してって、全部巻き込んで終わり。
ビデオテープのダビングの時代から、nyなどのP2P、そしてyoutubeときてニコ動と、既に禁止だけじゃ手に終えない。

ニワンゴの権利侵害対応プログラムってのがあって、これを使うと権利者側が好きなときに削除できるらしいよ」
「削除するのがこっち側(権利者)ってのが面白いね(笑)」
「てめえらのサイトで違法にうpされまくってる物なのに(笑)」
「”知的財産権の保護に取り組んでいます”って、取り組んだ結果が”ツールやるから自由に削除しろ”
 なの?こういうニワンゴの対応ね、もうね・・・バカかと(笑)」
「それでいて、この前うちの会社に”広告出しませんか?”って来たんだけど、どのツラ下げて来たんだ、と。
 盗人猛々しいとはこの事か、と。」

先の痛いニュースの抜粋内容から。
 
耳の痛い話である。
 
(一つ言わせてもらうと、著作物について削除判断するのが権利者側ってのは当たり前である。線引きは権利者にしかできない。先のソフト屋時代、警察による不正ソフトか否かの判断は実際にこっちが出向いて確認していたが、明らかに不正だという判断が付けやすい不正コピーソフトでも権利者が確認する必要がある)
 
ただ、UPできる場があってそもそもUPるなということなら、多分、見たかもしれない、買ったかもしれない層を逃す。ニコやyoutubeでようやく表に出てきた訳だ。見たい層や買うかもしれない層っていうのが。
買うかもしれない層ってのは、どこかで見れない限りは永遠に接点が無い。買うかもしれない層が、TVや録画を一回逃したというだけで、もう見なくなるし場合によっては買わなくなる。見たことの無いアニメDVDを、あの高い値段でいきなり買おうと思う奴がいるだろうか? 多分、ほとんどが躊躇なく「買わない」と思う。友人に勧められたとしても、タダ借りして済ますほうが多いだろう。
 
だったら、コントロールして儲けてしまえアングラにまた潜って儲ける機会を永遠に失う前に
 
ネットでの視聴はプロモの一環と割り切るほうがいい。TVで放送したものなら尚更だ。DVDを借りて視聴して終わらせる前に。
行き過ぎなユーザーが居れば釘を刺せばいい。(DVD特典やらDVD丸ごとUPやら。OVAだと広めるという点で厳しいが)
んで、UPするユーザー側に「権利者がいつでも見ている」という感覚を覚えさせればいい。
あと、CMテロップの無いアニメUP禁止とか(提供テロップの所でキャラがスポンサー名をちゃんと言っておく…サザエさんなんかOPでCMやってるが)、必ずニコ市場にDVDやら関連製品を置かせるとか。
 
視聴率っていうデータ自体が既に「あてにならない」訳だし。目に見えて再生数がわかるシステムを、利用しない手はない。
 
ネットでユーザーの多い作品が作られ、放送局や広告代理店側が製作会社に頭を下げて「放送させてくれ」と逆にスポンサーを引っ張ってくるような構造になっていってくれんもんかな…。ニコ市場でスポンサーの商品が並ぶとかさ。今のamazonドワンゴオンリーだと厳しいが。
 
以上、「見る側」の立場から、就職活動中のニートの戯言でした。