シニア層にPCの事を知ってもらうにはどうしたらいいのだろう

使いやすさを考えてみる。(アクティブシニア・シルバー層の現場から): 性能と機能

機能が少なくていいから安いのが良くて、といいつつ、アレがしたいコレがしたいといいつつ、起動時間が遅いと怒るシニアは多い。

解っていない人は、性能と機能の違いが解っていないということだ。ということをうちのスタッフが力説していた。
機能が少ないと安く感じる。
できることが少ないんだから安いんでしょ?
(中略)
でもねー、パソコンって使えるようになるのに時間かかるじゃない。なんか英語出たりしてさ。
あれって、つける気なくなっちゃうのよね。

彼らは性能=機能である。
自分がやりそうなことは大して機能が入らないと思う。と勝手に思い込んでいる。
だから、安いもので自分のしたいことは十分に出来ていると思っている。
だから、起動時間が遅いのが理解できない。
起動時間が遅いのが、馬鹿にされている気がする。

女心とシニア心、どっちがむずかしいんだろう?

mixi日記では乱文気味で取り上げたが、もう一度考えてみる。
とりあえず先に言っておくが、難しいのは女心だ
別の生物だし。
 
さて続けよう。
性能=機能の思い込みを「ぶち壊す」ためにどう説明すればいいのかを再度考える。
まず男性のユーザーだけれど、これは「車」で例えたり「事務員と事務机」で例えると、理解度が増す。
 
会社務めをした経験がある方なら女性も含め「事務員と事務机」の例えは、そこそこ有効だった。

  • CPUは事務員
  • HDDは引き出しの容量
  • メモリは机の広さと使いやすさ

大まかにこれを説明する。ここで察しのいい人なら「あれ、○○っていうのは無いの?」と気づく。
 
そうだ。
いくら大きくて使いやすい机であっても、いくら優秀な事務員であっても、基本的な仕事の手引書や社会ルール=OSが無ければ動かない。
乗っているソフトウェアやアプリケーションや利用できるサービスは、本来のパソコン自体には乗っかっていないということを、理解してもらうのだ。
そして、行うべき仕事の類が一見単純に見えても、仕事机が使いづらかったり、事務員の動きが悪ければ「結果的に仕事は遅くなる」という「イメージ」を叩き込んでもらうといい。

ただ問題なのは、事務にはあんまり携わったことの無い人だ。
子供と勉強机、という例もあるが家庭事情自体に関わるワードは避けたほうがいいかもしれない。
 
そこで考えたのは「キッチン」または「レストラン」だ。
この場合は、

  • CPU=料理人
  • HDD=収納
  • メモリ=広さと使いやすさ

包丁その他の道具は、アプリやサービスの事と理解してもらう。
そして、使う側の人間は「料理を注文し、食べる人」である。
パソコン起動時のあの時間は、所謂「開店準備」だと思ってもらおう。
映像画像、その他データの類は「食材」である。
 
注文内容が曖昧で漠然としていたり、悪い素材しか用意できないなら、出てくる料理もそれに見合ったものが出てくる。
まともな道具(=アプリケーション)がなければ、素材を料理することすら叶わない。
提携先(Webサービス)が無ければ、多様な素材を用意することもできない。
 
世の中には料理の鉄人みたいな人もいるじゃないかと言うかもしれないが、それはこれまでの修行や経験(即ちアプリケーションやサービス)を得た結果である。
また、シニア層ともなれば「超えられない壁」の現実はよくご存知だろう。
いくら経験や修行を積んで正しい手順で調理をしようと試みても、料理人の絶対的な才能(=性能)が不足していれば時間がかかってしまう。
 
既に一線を離れて一年以上経つが、基本的な「イメージのずれ」がシニア層の壁だと思う。
専門用語を極力避け、サポート側、ユーザー側のイメージの共有に心を砕いていたが、件の記事を見ていてシニア層は「パソコン自体の」イメージのずれがあったのか、と今更ながら。